- 「加工後の在庫が追えない」原因は、原料投入と出来高の記録が別々の場所にあること。
- 投入量・出来高・ロス・歩留まりを同じ入力画面でつなぐと、加工後の在庫が原料からたどれるようになります。
- 歩留まり率は商品・工程・季節で変動するもの。現場担当者が普段使う言葉そのままで記録できる設計が肝です。
精肉卸、食品加工、食品卸の現場で、「原料は何kg買ったか分かるけど、加工後の在庫がどこにあるかは追えない」という状況はよく見られます。加工担当者の頭の中には情報があっても、システムやExcelには断片的にしか入っていない。── 結果として、加工後在庫の数字は信頼できない状態になります。
この記事では、加工後の在庫が追えなくなる構造的な原因と、原料から出来高までを一画面でつなげる業務設計を解説します。
なぜ加工後の在庫が追えなくなるのか
原因は、記録する場所の分断にあります。
典型的なパターン:
- 原料の仕入れ記録は、仕入れ管理ソフトかExcel
- 加工の作業記録は、現場の紙のメモか加工担当者の手帳
- 加工後の商品在庫は、販売管理ソフトに転記される
- ロスは、月末に「在庫差異」として現れる
この流れだと、「先週仕入れた原料Aは、今、どの商品に変わっていて、どこに何kg残っているか」を一気通貫で追える人は社内にいなくなります。属人化が進み、加工担当者しか分からない状態が固定化します。
属人化そのものが悪いわけではありません。問題は、その人がいない時に判断できないこと、そして歩留まりの改善に使えるデータが残らないことです。
現場ではこう見える ── 業種別シナリオ
精肉卸の場合
原料の塊肉 24kg を、ブロック 12kg、スライス 6kg、ミンチ 4kg、ロス 2kg に分けて加工する。加工担当者は手元のメモにこれを記録しますが、システムに入るのは加工後商品の在庫数だけ。「原料Aロット番号#123から、何の商品が何kg出たか」をシステム上で追うのは、月末に手作業で組み立てるしかありません。
食品加工の場合
仕入れた原材料を複合加工して、複数の最終商品に分けます。原料の値段、加工工程の人件費、出来高、ロスを工程ごとに残せていないと、商品別の本当の原価が出ません。営業の値付け判断が、感覚に頼ったままになります。
食品卸の場合
仕入れた商品を、自社で小分けやリパックして販売することがあります。「元の箱単位の在庫」と「小分け後の在庫」が二重管理になり、棚卸し時に齟齬が生じます。これは厳密には加工ですが、システム上は「加工」として認識されず、調整不能な差異として残ります。
解決の核 ── 投入と出来高を同じ入力画面でつなぐ
解決策は、加工作業を1つの入力イベントとして扱うことです。原料投入・出来高・ロスを別々に記録するのではなく、「加工結果を一気にまとめて入力する画面」を作ります。
画面の構成例:
- 投入: 原料名、ロット、数量 (kg または個)
- 出来高: 加工後商品ごとに、商品名、数量
- ロス: ロスの理由 (骨/脂/トリミング/廃棄など) と数量
- 歩留まり: 自動計算で表示 (= 出来高合計 ÷ 投入量)
- 担当者と作業時刻
この画面が、原料の出庫イベントであり、加工後商品の入庫イベントでもあり、ロスの記録イベントでもある、という構造です。一度の入力で、3つの在庫変動が同時に処理されます。
画面のイメージは、トップページの「機能の見取り図」の「加工歩留まり」カードで確認できます。
歩留まり率の見方
歩留まり率は、その瞬間の数字よりも、推移と分布を見るほうが意味があります。
- 曜日別の歩留まり: 仕入れ日からの経過日数で歩留まりが変動する商品があるか
- 担当者別の歩留まり: 加工担当者の技量差や、手順のばらつきが出ていないか
- 季節別の歩留まり: 夏冬で原料の状態が違い、結果が変わるか
- 仕入先別の歩留まり: 同じ商品でも、仕入れ先で歩留まりに差があるか
これらが見えるようになると、仕入先選定、加工手順の標準化、シフト計画にデータが効くようになります。
既製品の在庫管理ソフトで足りない理由
加工業務は、業種・会社ごとの個別性が非常に強い領域です。
- 「歩留まり」の定義 (重量ベースか、価格ベースか、商品単位か)
- 加工工程の段数 (1段加工か、多段加工か)
- 副産物の扱い (販売可能な副産物か、ロスか)
- 原料の単位 (頭数 / kg / リットル / 箱)
既製品の在庫管理ソフトは、業界横断の標準モデルで設計されているため、御社の加工工程の細部までは表現しきれません。御社の加工担当者が普段使っている言葉そのままで入力できる画面を作るのが、属人化を解消する最短の道です。
完成したアプリのドメインURLと管理ページ、運用手順をお渡しします。プログラム本体や動作環境は弊社でお預かりし続け、外部仕様の変更や急な不具合には月々の管理・保守で対応します。これにより、加工担当者は「入力する」「歩留まりを見る」という業務だけに集中していただけます。
取り組み方の3ステップ
- 現状をうかがう (60〜90分): 今の加工記録 (紙のメモ、Excel、現場の口頭ルール) を見せていただき、加工工程と歩留まりの感覚を整理します。
- 整理メモと画面ラフをお渡しする (目安 2週間、費用なし): 加工イベント1回分の入力画面と、歩留まり推移のレポート画面のラフをお渡しします。
- プランを選び、御社用の画面に作り込む: 加工担当者の言葉そのままで入力できる画面に仕上げます。
全体の進め方は、トップページの「進め方」セクションで8ステップに整理しています。
まとめ
加工後の在庫が追えない原因は、加工担当者の能力ではなく、記録の場所が分断されていることです。原料投入・出来高・ロスを同じ入力画面でつなぐと、加工後の在庫が原料からたどれるようになります。歩留まり率は推移と分布で見ることで、本当の判断材料になります。
属人化していた歩留まりデータが、社内の判断資産に変わります。
最初の60〜90分のヒアリングから、整理メモと画面ラフ・松竹梅プランのお渡しまで、費用は発生しません。
現場で使っている紙のメモやExcelの写真があれば、十分に話を進められます。