- 2026 年 3 月の事務系会社員 433 人調査で、56.6% が「SaaS を導入しても結局 Excel に転記している」 ことを経験 (株式会社オロ「働き方意識調査 2026『二重入力』」、ITmedia TechTarget 報道)。
- 原因は「IT 化が遅れている」ことではなく、SaaS が想定する業務と御社の業務にズレがあり、ズレを Excel が埋めている構造。
- SaaS をやめる必要はなく、SaaS が拾わない御社固有の業務領域だけに、業務適合した画面を 1 枚追加するのが現実的解。
「在庫管理 SaaS を入れたんですが、結局 Excel で再集計してます」「会計クラウドを使ってるけど、月末はやっぱり Excel で締めてます」── 中小卸の経営者から、こうした声を頻繁に聞きます。これは IT 化が中途半端なのではなく、現場のニーズと SaaS の標準フローのズレを Excel が無意識に埋めている構造があるからです。
この記事では、その構造を最新データで確認した上で、Excel を消す方法ではなく、Excel の作業を画面 1 枚に置き換える方法を解説します。
数字で見る、SaaS×Excel 併用の実態
2026 年 3 月、株式会社オロが全国の事務系会社員 433 人を対象に実施した「働き方意識調査 2026『二重入力』── DX 時代の業務実態 ──」では、次の数字が出ています (ITmedia TechTarget、2026)。
- 56.6% が「SaaS 導入後も Excel 転記」を経験
- 二重入力発生の原因:
- 複数のシステムがあり、連携されていない: 23.7%
- 部門ごとに管理方法が異なる: 18.0%
- SaaS を導入しているが Excel も併用している: 15.9%
中小企業を対象にした商工中金の別調査でも、IT・ソフトウェア活用について「導入はしたが業務効果が限定的」と回答する企業が一定数あり (商工中金, 2023)、SaaS 導入が即業務効率に直結しない実態が見て取れます。
なぜ SaaS だけでは Excel が消えないのか
SaaS は通常、業界の標準的な業務フローを前提に設計されています。一方、中小卸の現場では、長年の取引や個別の事情で標準とは少し違う運用が育っています。
ズレの典型例:
- 商品の格付け基準が SaaS の汎用区分と合わない (A 品 / B 品 / 訳あり)
- 取引先別の納品条件や入数が SaaS マスタの定義と一致しない
- 加工工程の歩留まり計算ロジックが業界標準ではなく、御社固有
- 「臨機応変な数量調整」の判断ロジックが SaaS では表現できない
このズレを埋めるために、現場担当者は無意識に Excel で「補正の表」「対応関係の表」「集計し直しのシート」を作ります。SaaS が悪いのではなく、SaaS の標準と御社の業務の差分を Excel が黙々と埋めている構造です。
業種別シナリオ ── 中小卸で起きていること
青果卸の場合
在庫管理 SaaS は商品コード単位での在庫管理を前提にしますが、青果卸では同じ品名でも産地・等級・到着日で価値が違い、現場では Excel で別管理。SaaS と Excel の間で「あれ、合わない」が日次で発生します。
精肉卸の場合
会計 SaaS で売上を入力しても、加工によって原料 1 kg → ブロック 0.6 kg + スライス 0.3 kg + 端材 0.1 kg のように物量変換が必要です。この変換ロジックを SaaS では持てないため、加工後の在庫と売上を紐付けるための Excel が並行運用されます。
食品卸の場合
請求書を発行する SaaS と、得意先別のフォーマット差異 (例: A 社は商品名のみ、B 社は商品名 + JAN コード必須、C 社は税抜表示) があり、最終的に Excel で得意先別テンプレを管理する形になります。「SaaS で 8 割、Excel で 2 割」が日常になります。
解決の核 ── SaaS の "外側" に業務適合画面を 1 枚追加する
ここでよくある誤解が「現状の SaaS を捨てて、御社専用のフルカスタムに置き換える」発想です。これは大半のケースで コスト過剰で続きません。
現実的に動く方法は、SaaS を主力として残し、SaaS が拾えない御社固有の業務だけを、追加の画面 1 枚で補うことです。たとえば次のような項目を 1 画面に並べます。
- SaaS から日次取り込みした商品マスタ + 在庫数
- 御社固有の追加属性 (格付け、産地、賞味期限ロット、得意先別フォーマット)
- 御社固有の判断ロジック (歩留まり計算、数量調整、優先出荷)
- 担当者の確認履歴と例外メモ
これだけで、Excel で運用していた「補正の表」「対応関係の表」が画面に統合されます。SaaS 側は触らず、御社特有の業務だけが画面に乗ります。
画面イメージの方向性は、トップページの画面イメージセクションでご覧いただけます。
「全部入れ替える」発想で失敗する理由
一方で、よくある失敗パターンが「SaaS の体験が悪いから、別の SaaS に乗り換える」「いっそ全部カスタム開発で置き換える」という大掛かりな入れ替えです。
これが失敗しやすい理由:
- 移行作業に半年以上かかり、その間も既存業務が止まらない
- 新システムでも、結局御社固有の業務が拾えず、再び Excel が出現する
- 初期費用が膨らみ、月次の運用負担も増える
- 新 SaaS / カスタムでも、ベンダー次第で 5 年後に同じ悩みに戻る
一方、「SaaS の "外側" に画面 1 枚追加」アプローチは、SaaS を継続しながら、現場の不満だけを段階的に解消できます。
私たちは、完成したアプリのドメイン URL と管理ページ、運用手順をお渡しします。プログラム本体や動作環境は弊社でお預かりし続け、月々の管理・保守を継続します。既存 SaaS とのデータ連携 (CSV インポート、API 連携など) も運用保守のなかで継続的に対応できます。
取り組み方の3ステップ
- SaaS と Excel の併用状況をうかがう (60〜90分、費用なし): 御社で使っている SaaS の一覧と、それぞれに対して併用している Excel の中身を見せていただき、「Excel が何を補っているか」を整理します。
- 整理メモと画面ラフをお渡しする (目安 2 週間、ここまで費用なし): SaaS と Excel の役割分担、Excel を画面 1 枚に置き換えるための画面ラフ、開発と運用保守を組み合わせた松竹梅プランをお渡しします。
- 御社用の画面に作り込む: プランを選び契約。SaaS はそのまま、Excel だけを画面に置き換える運用に切り替えます。
全体の進め方は、トップページの「進め方」セクションに 8 ステップでまとめています。
まとめ
SaaS×Excel 併用は、56.6% の現場で発生している構造的な課題です。SaaS を否定する必要も、フルカスタムに移行する必要もありません。SaaS が拾えない御社固有の業務だけを、追加の画面 1 枚で補うのが、最も負担の少ない解決アプローチです。Excel を消すのではなく、Excel の作業を画面に置き換える ── ここがゴールです。
引用元
- 株式会社オロ実施「働き方意識調査 2026『二重入力』── DX 時代の業務実態 ──」(2026 年 3 月、全国事務系会社員 433 人) → ITmedia TechTarget 報道「『SaaS 導入しても Excel 転記』を 56.6% が経験 ―『二重入力』を止められない理由」 — techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/2605/25/news02.html
- 商工中金「中小企業の IT・ソフトウェアの活用状況に関する調査 (2023 年 1 月)」 — shokochukin.co.jp/report/data/assets/pdf/futai202301.pdf
- 中小企業基盤整備機構「中小企業の SaaS 活用実態調査」 — smrj.go.jp/doc/research_case/saas.pdf
- 総務省「令和 2 年版 情報通信白書 - 企業におけるクラウドサービスの利用動向」 — soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd252140.html
最初の 60〜90 分のヒアリングから、整理メモと画面ラフ・松竹梅プランのお渡しまで、費用は発生しません。
「SaaS を全部入れ替えるべきか、足りない部分だけ追加すべきか分からない」段階で構いません。