この記事の要点
  • 2023 年度の日本の食品ロスは 464 万トン、事業系のうち 食品卸売業は 10 万トン (事業系の 4%) (農林水産省・環境省 2025 年公表)。「3 分の 1 ルール」が温存される中、卸の現場では先入先出 (FIFO) を紙伝票と棚卸し票で支えている。
  • 令和 7 年 10 月時点で 377 食品小売事業者 が納品期限緩和に動いたが (農水省)、卸側の在庫運用がアナログのままだと、緩和の効果を取りこぼす。
  • 解決は 新しい WMS の導入ではなく、既存のロット番号・入庫日メモを画面に書き写すだけ。業務手順への変更を最小限に抑えながら、賞味期限が近いロットの「警告と先出し指示」が画面に出るようになる。

「3 分の 1 ルールがあるから、納品 1 ヶ月前には出荷しなきゃならない。でも棚から古いロットを先に出すのは、結局現場の目視に任せている」── 食品卸の倉庫責任者から、こうした実情をよく伺います。FIFO (先入先出) の原則自体は誰でも知っているのに、現場で徹底できない構造的な理由があります。

この記事では、最新の食品ロス統計でその構造を確認した上で、業務手順への変更を最小限に抑えながら FIFO を仕組み化する実践的な方法を解説します。

数字で見る、食品卸の食品ロスと賞味期限

これらの数字が示すのは、卸売業の食品ロス削減は 「仕組みのある現場では既に効いている、ない現場では効いていない」 という二極化構造です。FIFO 運用の徹底度が、そのまま廃棄率と粗利率に表れます。

業種別シナリオ ── FIFO が回らない理由

シナリオ 1: 加工食品卸 (調味料・乾物・冷凍食品など)

賞味期間が長い (6 ヶ月〜2 年)。倉庫に 同じ商品でロット (製造日) が 3〜5 種類混在 することが常態化。棚は同じ番地にまとめて積み上げるため、古いロットが奥に押し込まれて目視確認しにくい。「新ロットの納品時に古いロットを手前に出す」のが原則だが、忙しい日は飛ばされる。月次の棚卸しで初めて「3 ヶ月前のロットがまだ 5 ケース残っている」と発覚するパターン。

シナリオ 2: 日配品卸 (パン・乳製品・チルド惣菜)

賞味期間が 1〜7 日と非常に短く、毎日全在庫の動きを把握する必要がある。FIFO 自体は徹底されているが、「明日 1 日売り切りたい在庫が何 kg / どの取引先向け」を 朝の便を出す前に手書きメモで確認 する運用が主流。Excel に書き写すのは月末の集計時のみで、日次の判断は紙頼り。

シナリオ 3: 冷凍冷蔵食品卸 (水産加工・冷凍野菜)

賞味期間は中間 (1〜6 ヶ月) だが、解凍 = 賞味期限の再リセット が起きる。一旦解凍された商品は、消費期限が数日単位に短縮されるため、ロット管理が複雑化。「解凍ロット」「再凍結ロット」のような状態管理が、紙伝票では追えなくなる。

解決の核 ── ロット番号と入庫順を画面に書き写す

食品卸の FIFO を仕組み化する最大のポイントは、WMS (倉庫管理システム) を新規導入することではなく、現状の棚と動きを画面に書き写す ことです。

画面側では:

この設計のポイントは 「現場の判断を奪わない」 ことです。画面が「推奨」を出すだけで、最終判断は現場担当者が下す。新人でも経験者と同じ判断ができ、経験者は今までの勘で動ける。

既製品で足りない理由

取り組み方の 3 ステップ

  1. 対象商品の絞り込み (1 営業日): 全アイテムからではなく、賞味期限が短い (90 日以内) または廃棄損失の大きい 20〜50 商品 に絞る。「全部やる」が頓挫の原因。
  2. 入庫データの画面化 (2〜4 週間): 入庫伝票の数字を画面に写すだけの軽量画面を作成。現場担当者は今までの伝票を見ながら入力するだけで FIFO の土台が整う。
  3. 納品時の推奨ロット表示 (1〜2 ヶ月): 出荷指示画面に「このロットを先に出してください」の推奨を表示。現場の動きが変わるところまで進める。

まとめ

食品卸の食品ロス削減は、年間 10 万トンが業界共通の課題。3 分の 1 ルールは取引慣行の中で温存される一方、小売側の納品期限緩和が進んでいる今、卸の在庫運用が紙のままだと、せっかくの緩和効果を取りこぼす 状況に直面します。新しい WMS を導入するのではなく、既存のロット番号と入庫日メモを画面に書き写すだけで、FIFO 推奨と賞味期限アラートが現場に届く ── これが、業務手順への変更を最小限に抑えた現実解です。

引用元

「うちの賞味期限管理を画面でどう仕組み化できるか、見てみたい」段階のご相談を歓迎しています

最初の 60〜90 分のヒアリングから、整理メモと画面ラフ・松竹梅プランのお渡しまで、費用は発生しません。
「賞味期限のロット管理を始めたいが既製の WMS は重すぎる」「3 分の 1 ルール対応で在庫運用を整えたい」「廃棄ロスを月次で見える化したい」段階で大丈夫です。

30 分・無料で相談する 先に 3 分でセルフ診断 →
記事一覧へ戻る